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負債も関わるからじっくり検討しよう

相続した財産、それが収益物件であったとして、銀行借入金の担保になっている場合には相続した人がその借入金を引き受けるのが通常の流れでしょう。
しかし、兄弟姉妹相続を例とすれば、家長的長兄がいる一方で、病弱などを理由に生活力のない妹がいる、こうしたケースもあります。
借入金の大半を長兄が引き受け、妹に収益不動産の大半を分け与えるケースもあるようです。
長兄には、もともと不動産所得があり、継承した銀行借入金の利子はすべての必要経費として控除するつもり、そうした意思があれば税務上にはどのような問題が生じるのでしょうか。
必要経費に算出するために検証してみれば、不動産の持ち分と借入金の負担割合が異なる場合、不動産の持ち分に対応する借入金についての借入金利息の額に限られるようです。
つまり、長兄の不動産所得の必要経費とできる負債の利子は、実際に負担した額に関わらず、その借入金に対応する収益不動産のうち、長兄が取得した部分の金額に限られることになります。
だったら、控除できなかった負債の利子、妹の不動産所得から控除できるのかといえば、それもできません。
不合理分割をするのならば、引き受けた債務の大半はその相続財産から控除できないので、じっくり話し合い、贈与や信託などを組み合わせたもっと効果的なスキームも検討してみましょう。

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